三章

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聖臣は食後のコーヒーを飲んでいた 「聖臣様、一応私たち戸籍上では夫婦なんですよね?」 「そうだ、不満か?」 「はい」 「即答か」 「私は契約を破棄し契約違反で今こうして専属メイドをしています。破棄した時点で婚姻関係も無効ですよね」 「婚姻解消はしない。お前は一生返せない借金背負っているんだから遅かれ早かれ根をあげ、俺の子産みたがるに決まっているからな。それに妻がいると知れば一族は暫く黙るだろう。お前は俺の道具なんだから利用させてもらう」 「私はもうこの際いいですけど、他の女性に道具なんて言ったら駄目ですよ」 「俺は女嫌いで虫螻にしかみえないからな、徹底的に避けてる。お前にしか言ってない」 (女嫌いなのに…私はいいの?……道具だから?) 黙ってしまった澪に聖臣は少し考えながら言う 「婚姻解消は借金完済したらな。何度も言うが俺は跡継ぎだけ欲しいだけだ。結婚生活も恋愛も一切する気はない。お前は戸籍上の妻だが好きな男がいるなら恋愛しても構わないし咎めないから安心しろ。その男と結婚したいならまず俺の子産むのが絶対条件だがな」 「恋愛許していただけるんですね!ちょっと希望湧きました」 「ふん。出会いがあればな」 (ん?) 澪は考えた 澪が数日前までいた会社は休職、合コンは苦手、恋人が出来ても夏姫に奪われる可能性がまだある。 …メイドの仕事相手は主に聖臣。 そう澪の前に聖臣しかいない=出会いなんて皆無だということに気がついた澪は希望が枯れた
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