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イモータル・パニック!
「ああ、なんてことだ……」
魔王城の会議室。
いろいろな班の隊長や副隊長、その他ブレーンを集め、緊急会議を行っていたところだ。
今目の前にある問題は────そう、『ゾンビ』と『吸血鬼』──またの名を、『ヴァンパイア』の大量発生である。
「現在確認されているのは、森がある地域とされています。いずれにせよ、暗くジメジメした場所ですね」
「ふむ。ゾンビや吸血鬼らしい、陰湿な場所だな」
6班の副隊長シルバーと、1班の隊長ドンがうなずいた。
「しかし、なぜこんな『死』にまつわる悪魔たちが揃いも揃って大量発生しているんですかぁ?まず吸血鬼って1人いるだけでも大問題じゃないですかぁ」
発言したのは4班の副隊長ハリスだ。彼がいるからシャレットたちが緩いんだが……まぁ、彼らには合っているのかもしれないな。
「理由はまだ不明です。ですが放っておくと、厄介なことになるのは明白です」
「当然のことだな。すぐにでも戦力を割き、遠征に向かえ」
「………………」
命令を聞いたシルバーが難しい顔をした。
「あの、イグリト隊長、カリビア副隊長。あなたたちはよくご存知かと思われますが、その……」
「言いにくいことか?問題ない、話してくれ。公私混同はしない」
4班の隊長イグリトの言葉に、オレも賛同した。
「わかりました。その……魔王グドーと勇者シャレットは他の魔界から訪れた者たちですよね。そして、大量発生した吸血鬼の特徴が……その…………」
「あいつらの世界のものに近い、ということか?」
「………………」
「あいつらが呼び寄せたと?」
「………………憶測、ですが」
はあ…………。と、オレとイグリト隊長はため息をついた。
何を馬鹿なことを。ということと、最悪、彼らを謹慎処分、もしくは────というのも脳裏に浮かぶ。
「で、ですが、どちらかというと、この魔界の悪魔の特徴とは少し違うっていうだけで、彼らの魔界のものと確定したわけではありません!ただ、今繋がっている魔界で、一番可能性があるというもので考えると、そういったことになるというだけであり────」
「もういい。十分わかった」
イグリト隊長は立ち上がった。
「イグリト隊長!」
「こちらとしても、彼らを疑うわけにも、失うわけにもいかない。それに、討伐には彼らを連れていくことはすでに決定していた。彼らの魔界のものだとしたら、彼らの方が手慣れている可能性もある。もし2人が怪しいことをすれば、すぐに止めることを約束しよう」
……そのまま、イグリト隊長は部屋を出ていってしまった。
「…………だそうだ。今日明日に、遠征について伝達をする。会議は以上だ。解散」
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