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どこからか銃声が聞こえる。それは校内のどこかで斥候同士の衝突が起きたからだろうと推測した。
ここはとある県立農業高等学校。無作為に選ばれたうちの学校内では志願者だけの戦争ごっこが繰り広げられている。
自分がなぜ志願したのかは正直に言って成り行きみたいなもんだ…。多少サバイバルゲームに慣れているとは言え、手渡されたのは実銃。つまり本気で殺し合い。
始まってからいくら経っただろうか…。そうだ…始まったのは正午からだ…。
窓の外を見ると太陽は西へと傾き、夜のとばりが空に覆いかぶさってきた。
「戦況はどう?」
気の強そうな声だが音量は小さい。警戒しているのはうちのクラスの千林加奈だ。
「あんまりよくないよ…。衝突を繰り返して無駄弾撃ってるだけさ…。」
机に全体校内図を広げて説明しているのは幼なじみの鳴海良明。
「副委員長。撤退させようか?夜戦奇襲も視野に入れよう。」
マニュアル本をぺらぺらとめくりながら奇襲作戦の手引きなるページを眺めているのが杉坂敏夫。
三人ともこんな経験のない中で必死に頭の中で考えを巡らせて死線を乗り越えようとしていた。
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