江戸での暮らしと不穏な影

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穏やかじゃねーな…。 「わーった。後で紹介してくれ」 こうして、俺達は各自、居室をあてがわれた。 【鈴木くんの字の勉強】 「空から舞い降りてきた現代の天使、白衣の天使を看護師と呼びます。以前は看護婦と呼ばれて、主に女性が就く仕事でしたが、現代では、男性も増えて、看護師と呼ばれるようになったと言われています」 「うーむ…眼鏡よ」 「鈴木と申します」 「では、鈴木よ。今、そなたが言ったことを書に認めるとこうなる」 僕はご主人が書いた書面を見せてもらいました。 「…一見、難しそうに見えますが、要は草書ですね。因みに、僕の時代の主な字は、楷書という文字で書かれています」 「そなた、草書とやらが読めるのか?」 「はい。齧った程度ですが。今、僕が読んだ文章を、ご主人の見本を見ないで、草書に認めてみます」 僕は草書の文字の記憶を頼りに、筆を取りました。 書道は久しぶりですが、書けない事は有りません。 最後まで書いて、ご主人の書いたお手本と照らし合わせてみました。 大体、合っていましたが、『天使』という箇所だけ違っています。 僕は一瞬、間違えたかと思いましたが、ご主人の方は、よく見ると、天女になっています。 天女と天使…同じ方を差しますが、時代の差で言葉が違うのでしょう。
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