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特に病気ってひと言でいっても色々な不調があるからなぁ。
僕がお薬を眺めていると、奥からお店の人が出て来た。
「いらっしゃい。どこが具合悪いのかな?」
お店の人に訊かれて、僕はお爺さんの奥さんが苦しそうに咳をしてたのを思い出した。
「あの、咳に効くお薬って在りますか?」
「在るけど…」
お店の人は、怪訝そうに僕を見ている。
僕が咳をしていないから、不思議に思ったのかもしれない。
「あ、僕のじゃないんです。お世話になっている人の大切な人が、苦しそうに咳していたから…」
「だったら、一応、お薬は処方するけど、一度、町医者に診てもらった方が良いね。行くのが辛いなら、往診に来てもらうとかね」
僕が返事をすると、お店の人は咳に効くお薬を処方してくれた。
「ありがとー、おじさん」
「お、おじ…っ?!ゴホン!お大事になさってくださいね」
僕はお店の人からお薬を貰うと、旅籠に帰る事にした。
もうじき夕餉の時間だ。
食べている時に、お爺さんに町医者の事を言ってみようと僕は思った。
あのお爺さんの事だから、もう診せているかもしれないけど…。
【香澄の奥方看病】
時間は、日中に遡る。
私は居室に案内してもらった後、買う筈だった本の中から物語風になっている物を見繕って、奥様の居室に向かった。
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