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「ほう…これは美しい。後、10年経てば許嫁にしたい位だ」
師匠が冗談とも本気ともつかねー事を言う。
「師匠。彼女は、俺の許嫁みてーな者なんで」
「そんなに怖い顔しなくても、私の心には亡き妻が今でも居る。決して消える事無くな…」
師匠も色々とあったらしい。
「千夜くん、お疲れ様。今、怪我の手当てをするわね?」
香澄は縁側に座ると、山村から薬を受け取る。
「じゃあ、頼むぜ」
俺がそう言って、着物をはだけさせると香澄は小さく悲鳴を上げた。
上半身だけだってーのに、まあ、そこも香澄の可愛いところだが。
よく見ると香澄も目が腫れている。
山村といい、香澄といい、俺が稽古している間に何かあったのか?
だが、それを訊くのは、何だか憚られた。
「初々しいのを見せてもらった。ご主人、夕餉の前に湯浴みしたいがいいだろうか?」
「構わん。もう沸いている頃だろう」
師匠と爺さんが会話する中、香澄が恐る恐るといった感じで俺のアザに湿布を当てる。
「くすぐってーよ、香澄!もっと、しっかり当ててくれ」
「ご、ごめんなさい(汗)」
「そうだ!僕も茜ちゃんの布、洗わなきゃ!」
山村以外「アカネちゃん?」
「町でお花売っている子ー。お父さんが役所の人だって言ってたー」
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