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その声に、侍達の動きが止まった。
「長老…?!し、しかし、彼奴等は、得体がしれな過ぎます!」
侍達が刀を下ろして、後ろを向く。
その動きで垣間見得たが、威厳のある老人が侍達相手に対峙していた。
そして、驚くべきことに、侍達共、縁があるみてーだ。
「この者達の身分証明書なら、ここに在る!」
爺さんは、そう言うと、何やら書面を侍達に掲げて見せた。
…あ?
身分証明書って…生徒手帳な訳ねーよな。
爺さんの掲げている紙みてーなのは、もっとデカくて色々な文字が書かれているようだったが、何て書いてあるかまでは、解らねー。
俺は思わず鈴木を振り返ったが、奴も首を振るだけだった。
だが、それを見た侍達は皆、たじろいたのが、更に俺達を驚かせた。
「そ、それは、長老の屋敷の子等の証…?!」
侍達は一斉に刀をしまうと、俺達に向かって土下座した。
「長老のお子等とは、つゆ知らず、ご無礼をお許しください!!」
…いや、俺達、爺さんの子供になるには、歳が離れ過ぎているだろ。
だが、侍達は偽の身分証明書を本物と思い込んでいるらしい。
皆、ひれ伏したままだから、俺達は違う意味で注目を浴びていた。
「長老のお子様達ですって!」
「きっと変わった格好と思ったのも、身分が高いからなのね!」
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