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「康介に電話するわ」 雪乃は康介に電話をかけた。 まだ家には帰っていないだろう。 けれど仕事が終わっているなら電話を取ってと雪乃は願う。 「……繋がらないわ」 焦っている雪乃に前島さんが提案する。 「雪乃さん。そして、真奈美さん。ここではなんですから、場所を移動しましょう。雪乃さんのご主人には連絡がつき次第来ていただくという事で、そこの……カラオケボックスに行きます」 前島さんは私たちを連れてカラオケボックスに入った。 この場所だったら、防音も効くし個室だから他の人の迷惑にはならないだろう。 「実家に電話して、太陽を預かってもらうよ」 「いいえ、前島さんはもう帰って下さい。これ以上迷惑をかけられません」 前島さんにはこれ以上迷惑をかけられない。 「なんで!この人だけ逃がそうとしないで!あなた不倫相手のことが康介にバレるのが嫌なんでしょう。駄目よ!康介さんに浮気していることをちゃんと知らせてよ。卑怯者!」 彼女は私の服を掴んで、頬をひっぱたいた。 「おい!やめろ」 前島さんが真奈美さんの腕を掴んで押さえつけた。 私はゆっくりと彼女を見据えて。 「冷静に話ができないなら、夫は呼びません。康介と話がしたいのなら、真奈美さん、冷静に振る舞って下さい」
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