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前島さんは関係ないのに、彼にまで火の粉が降りかかってしまった。 「前島さんは私の会社の上司です。私は水曜と金曜日に彼の家に夕食を作りに行っています。それは、家政婦としてであって、体の関係はありません。私がお願いして、彼の家に行っていただけです」 「……そうだったのか……」 それを聞いて康介はほっとした表情を浮かべた。 「そんなの嘘に決まっているじゃない!」 「真奈美は何もわかってない。君は雪乃の事を知らないだろう」 「なんで奥さんの肩をもつのよ……」 真奈美さんは泣き出してしまった。 「康介さん。真奈美さんの事はあなたの問題です。ちゃんと話をつけて下さい。前島さんは関係ないのでこれで帰ってもらいます。これ以上迷惑をかけたくありませんから」 「いや、帰るんだったら河津さん、雪乃さんも一緒に連れて行く。どう見ても、ご主人はこの女性と二人で話し合う必要があるだろう。奥さんに危害を及ぼしたのは事実だし。ちなみに彼女は殴られたからね」 「え!殴られたのか雪乃」 「とにかく、康介さん。真奈美さんとちゃんと話し合って下さい。結論が出たら私に話して下さい。真奈美さん。私が離婚をしたいと言ったら彼が、康介が嫌だと言ったの。そこだけはちゃんと覚えておいてね。私は離婚しようと夫に言ったわ」 「それじゃあ、奥さんは連れて行きます」 そう言うと前島さんは私の手を引いてカラオケボックスの部屋から出て行こうとした。 「ちょっと待って」 雪乃は前島さんにそう言って、鞄の中からボイスレコーダーを取り出し、康介に渡した。 「録音して。私も後で聞くから」 「わかった」 彼らをその場に残して、雪乃と前島さんはカラオケボックスを出た。
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