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ん
な
さ
い。
視界が歪む。
言葉も引き裂かれる。
全てがぐちゃぐちゃになって、俺は俺自身の口の中に吸い込まれていった。
怖い……。
恐ろしい……。
本能のままに泣いている。
うわぁああああ。
わぁあああ。
わああわぁわあ。
わあわぁわあ。
不可思議に、声が高くなってきた。
けれど俺は、その異変に構うことなく泣くことを止めない。
……。
ぎゃあ.
おぎゃあ..
オぎゃあ...
オギャあ....!
オギャア.....!!
赤子の鳴き声が、自らの身体の中に響いた。
その声は空気を震わせる。
ぼんやりと周りも明るくなっていた。
まさか……。
これは、生まれ変わったとでも言うのか?
オギャアァ!俺は疑問を口にした。
『元気な女の子ですね』
看護師さんの声だろうか。
『ええ。かわいいなぁ』
『笑ってる顔も見たいなぁ』
刹那、俺は恐怖を口にした。
オギャアァァ!オギャアァア!オギャアァァ!
身体が本能的に恐怖を訴える。
けれど、産まれたてだから俺は、何が怖くて泣いているのか分からない――。
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