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自覚はあった。
無い方が流石におかしいだろう。
運転席の小山は、俺が人生で最初にいじめをした人間だ。
多少のからかい程度なら、悪ふざけの範疇だからと思っていた。
けれど、自分の薄っぺらい良心が風で飛ばされるかのように、どんどんエスカレートした。
言葉で刺したり、手や足で小山の皮膚の内外に彼女の青黒かったり赤かったりする血液を顕にさせた。
そんな姿を見ることが特段面白いわけでもなく、けれど日課となってしまっていた。
二列目に座る岸部は、小山と仲が良かった。半ば恋人のような関係だった。
俺は岸部に度々指図して、小山の写真を持ってこさせた。
その殆どが隠して撮らせたもので、こちらに持ってくる度に苦虫を噛んだような、そして目に涙を浮かべている表情をチラチラ観察しながら、小山共々嬲っていた。
助手席の新塚には、二人にしたいじめを足し合わせたぐらい酷いことをした。
それはもう……自らでさえ思い出したくもない。
もっとも、新塚の左手に光るものが見えるからそれはきっと指輪で、俺はそれが見えて少しほっとしたのだけれど。
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