不可思議

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 だから、こいつらに復讐されるなら当然だ。  あの頃から当然疎遠になって、成人して、しかしいつかどこかのタイミングでいじめられっ子の三人から、誰かからあの頃の仕返しをされても多少なり当然っちゃ当然だろう。  けれどもなんだ。  状況がおかしい。  この三人は仕返しをする素振りは無いし、そもそもあれほど酷い事をした俺と夜にドライブを楽しむなんて、いくら馬鹿な俺でも流石にありえないことだと分かる。  それからもう一つ。  不可解なことに、気がついてからいくら思い出そうとしても、俺がこの三人を確かに虐めたということや、今日が休みだから二度寝しようとするまでの記憶は、全てはっきりと覚えていた。  酒も飲んでない。  はー、と手を口に近づけて静かに息を吐いて臭ってみたが、酒臭さの微塵も無かった。  汗が滲む不快感が額を這う。 「なあ」  俺は前方の三人に声をかけてみたが、全くこちらに反応が無い。  変わらず談笑しているだけだ。 「おい、なぁって」  もう一度声をかけてみた。  刹那、ガタッと車が揺れて思わず俺の呻き声が漏れた。  それとほぼ同時に前方に徐に暗い橙色の明かりが見えてきた。  トンネルだ。  俺はふと、違和感を感じて車内前方を見回す。  ついさっきまで楽しそうに喋っていた三人は、トンネルに何かあるのか前方を凝視していた。  その表情は全体を詳しくは伺いしれないけど真顔のようで、能面が薄く張り付いているようにも思える。  焦っていた。  そして、正直怖い。  間もなく入るトンネルは、入るべきではないだろう。  俺は息が荒くなるのを自覚した。  ああ、酒を飲みながらテレビを観たい……。  テレビ……?
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