不可思議

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 俺は、夜道の山道をひた走るミニバンに乗っていた。  車内には四人居るようで、その内の一人が俺だった。  三人は運転席と助手席、それから二列目のシートに一人座っている。  俺は一人、後部座席にぽつりと座っている。  身に覚えが無かった。  というより、これまでの記憶が黒い霧にでも覆われているように全くはっきりしない。  何故自分は車に乗っていて、山道を走る中ぼーっと座っていたのだろう。  酔っているわけでも無さそうだ。  ふと、誰が乗っているのか気になった。  そろりと視線だけ動かしてそれぞれの後ろ姿を見遣ると、何となく見覚えがあった。  車を運転する女。  その隣でくすくすと笑う女。  その後ろで控えめに話す男。  談笑するその三人の声にも聞き覚えがある。  十年前のクラスメートだと思う。  今は連絡もとっていない。  とれるはずもなければ、  なぜなら、俺はこいつらをいじめていたからだ。
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