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第1話 優秀な僕の上司
今日も僕は会社の上司に厳しく叱られた。
確かに僕のミスを発見してくれなければ、発注ミスで会社に約3000万円の損失を与えていただろう。
資本金10億の大会社だから、それで会社自体が危うくなる事は無いだろうが、確実に僕は責任を取らされるところだった。
僕の上司は国立の帝国大学大学院経済学研究科修士課程修了で、経済のプロであり、数字には めっぽう強い。
あまりに優秀で会社から有望視され、35歳の若さで営業一課の課長をこなし、部長昇進も間近だと噂されている。
特筆すべきは彼女がスタイル抜群でモデル顔負けの美貌の持ち主であること。
今までに交際を申し込まれた男性の数は数えきれず、社長さえも彼女の仕事の能力と同じくらい、その美貌に関心を持っているらしい。
名前を桐島舞子(きりしま まいこ)と言い、まだ独身で、近い将来にどんな優秀で家柄の良い男性と結婚するのだろうかと、皆が関心を寄せているところだ。
さて、僕はというと………
地方にある私立の流美南(るみなん)大学という、何処に有るのかも説明しないと分からないような大学の商学部卒で、大学時代の成績は中の上………お世辞にも優秀とは言い難い。
冨澤圭介(とみざわ けいすけ)が僕の名前だ。
とにかく彼女と僕とでは月とスッポンだ。
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