消えない想い

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「落ち着いて聞けよ……」 「落ち着いてないのそっちじゃない?」 昼休み。 ふぅっと息をはいてお弁当を広げていると走ってきてあたしの肩をグッと掴んだのは幼なじみの悠翔(ゆうと)。 あたしに落ち着けと言うけどどう見ても肩で息をして落ち着いてないのは悠翔のほうだ。 「遥翔(はると)が……!」 「遥斗が?」 「死んだって……」 「……え?な、なに冗談言って……」 悠翔はどうみても憔悴してて冗談を言っているようには見えない。 でも、信じられなかった。いや、信じたくなかった。 「冗談でこんなこと言うかよ……昨日、バスの転落事故のニュースあったろ」 「……うん」 「あのバスに遥斗は乗ってたんだ」 「嘘だぁ……」 遥斗は悠翔の双子の弟であたしの彼氏でもある。 遥斗と悠翔ととは家が隣で幼い頃からずっと一緒にいた。そんな同じ顔をした2人だけど、あたしが恋をしたのはは遥斗だった。 『こんなんもう俺、紅音のこと好きじゃん』 そう赤面して遥斗があたしに言ってくれたのが1年前。 遥斗は今部活の全国エースたちが集まる合宿に行っていて、明日帰ってくるはずだった。 「どうしよう、あたし遥斗と喧嘩したまま……」 合宿に行く前に遥斗があたしの家に寄ってくれて、話してたけど些細なことで喧嘩。 「お前なんでもう帰ってこなくていい!」なんて言ってしまったことを死ぬほど後悔することになるなんて思ってもいなかった。
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