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初デート。といってもいままでも当たり前のように2人で遊びに行ってたし何も変わらない。
変わったことといえば、あたしたちの手が繋がれていること。
「俺、初めての彼女だからな!お前がリードしろよ!」
「あんたってそういうとこあるよね。普通、俺がリードしてやるって言うもんでしょ」
だからモテないんだ。なんて言えばふくれっ面の遥翔に「うるせーよ」と彼の手で目を塞がれる。
そんな遥翔に笑うと遥翔もあたしにつられて笑っていて、遥翔といるのが本当に楽しいって思えた。
「悠翔だ」
「なんだお前ら初デートか?帰ってこなくても言い訳しといたるぞ」
「ばーか、そんなんいらねぇし」
「っつーか、紅音は物好きだよな。同じ顔してる俺の方が性格いいと思うんだけど」
「本当に性格いいやつは自分のこと性格いいって言わないんですぅー!行こ、紅音」
べーっと悠翔に舌をだしてあたしの手を握る。
「そういうとこが子供って言われんでしょー」
「いいだろ。こーいう俺が好きなくせに」
「好きだけどさ」
「おま……急に素直になんじゃねぇよ」
遥翔は悠翔と比べてだいぶ子供っぽいし、気遣いというものをお母さんのお腹の中に入れてきたんじゃないかってくらい人のことを考えられない人間だ。でもどんな遥翔であろうとあたしは小さい頃からこの遥翔と無邪気な所に救われてきたんだ。
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