温もり鈍痛かくれんぼ

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 もし付き合うことができたら、結婚することができたら、不定期じゃなくて毎日こんな幸せを感じられると思うとおかしくなりそう。 「素直に感謝してくれるところが好き。もっと私を必要としてください」  先生の首に腕を回して密着すると、もはや虜になってしまった先生の香りが鼻をくすぐる。細く見えるのに実はがっしりとしているギャップに余計に気持ちが高まってしまう。 「駄目ですよ。僕は教師で……アナタは生徒なんですから」  口では抵抗しているけど力づくで引き離そうとすることはない。  もっと本気にさせたい。熱い眼差しで見てほしい。先生の物にしてほしい。たった一人の大切な存在として溶けて混ざりあって?  私は先生のズボンに手を突っ込む。生暖かくどこか湿っているようなその感触が手の平に感じる。優しく擦る度に自然と息が漏れて散る。  その瞬間、言葉通り全身に電撃が走る。鋭い痛みが駆け巡り、目の前が白黒と忙しなく交差。ようやくそれが止んだと思えば、力が抜けて項垂れてしまう。何が起こったのか全く分からない、予想だにしない出来事に無抵抗に涙が頬を伝う。 「先生……?」 「この程度ですか。一番、加減が低いものですよ?」  先生の方を見上げる。期待を裏切られたとでも言いたいのか、冷徹な目線がどこまでも私を見下しているよう。 「もう一度いきます。あっ、この家は防音なのでいくら泣き叫んでも大丈夫です」 「えっ……?」  スカートから覗く太股に何かが押し当てられる。刹那、さっきよりも強い衝撃が襲う。激痛が脳すらも焼き切ってしまいそうで、ただ抵抗するように叫び声を上げるしか出来なかった。  スタンガンだ。何のために持っているかは分からないけど、それの使い方を熟知している様だった。次第に反応が薄くなったと思ったら今度は違う箇所に電流を浴びせる。私はその度に白目を剥いて、喉が千切れそうなほど吠えるしかできない。 「駄目ですね。話になりません」 「あっ……あっ……」  力が入るわけもない。想像を絶する痛みと痺れが私を犯す
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