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直後、蓮月くんと僕の声が重なる。まあ、重なったといっても僕にしか分からないんだけど、それはともあれ――
「――返して! お願いだから返して!」
そう、必死に手を伸ばしながら必死の声で訴える蓮月くん。僕を――胸元から強引に奪い取られた僕を、ニヤニヤと愉しそうに嘲笑う長身の男の子から取り返すために。
「――ほらよ、パス!」
【「――あっ」】
直後、僕の身体が高く宙へ舞う。そして、後ろにいた別の男の子の手に。蓮月くんが必死に追いかけるも、再び宙を舞い女の子の手に。そして、再び必死に追いかける蓮月くん。だけど、彼の手前で再び宙を――そんなことが暫く続いた、その時だった。
【「「「「「「…………あっ」」」」」」】
その場にいた、皆の声が重なった。それから、間もなくして――
【「――あああああああああああぁ!!!!」】
今度は、蓮月くんと僕の声が。何故なら――あの子達が投げ損なった、あるいは受け損なった僕が橋の上から成す術なく落ちていき、そして――
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