カラフルな絨毯

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 そうでした……、忘れていましたよ。私は今、高校のジャージを着てたのだ!   「ジャージ見ないでください、今朝、全部洗濯機に入れてしまったので、これしか服が無かったんです」 「まぁ、何となく予想は付きましたが……ところで、三宅さんって、今お幾つでしたっけ?」 「二一歳ですけれども。……なにか?」 「いぇ、物持ちがいいなぁと感心しているんですよ。ククク……」 「くっ……そんなに笑う事ないでしょう! ぷいっ」 「すみません。そういうつもりでは……。やっぱり、お礼も兼ねて朝食作らせてください」    篠宮さんは、素直に頭を下げた。   「……まぁ、それならば、いいでしょう。朝食を頂くとしましょう」  ちょっと砕けたやり取りがあったせいだろうか、私の警戒心と、肩の荷は、すっかりと降りていた。  きっと、彼は悪い人では無いのだろう。  私は、彼を信じることにして、照れながらも、ご相伴に与る事とした。
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