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私の両親は、共働きだった。
きっと今は、珍しいことではないのだろう。むしろ、専業主婦の方が珍しい存在になっている気がする。もちろん、住んでいる場所によっても異なることなんだろうけど、少なくとも私の周りではそうだった。
社会は、大きく変わってしまった。私が大人になるまでの間に、大きく変化してしまった。
この時代に、生まれていれば、あんな思いしなかったんじゃないかと思うと、この時代を生きる子どもたちが少し羨ましくも思える。
小学生の頃、家に帰っても誰もいなかった。
それでも、鍵を開けると「ただいま」と言って家に入った。当然、「おかえり」という声は帰ってこなかった。
私の両親は、「私たちがいなくても、おうちに向かって”ただいま”とあいさつしてね。おうちさんがあなたを守ってくれるから」と何度も言っていた。だから、私は、その言いつけを守って、「ただいま」と言っていた。
決して、親から言われることを期待していたわけではない。
それでも、時々祖父母やおじ、おばが普段より早く家に来て「おかえり」と言ってもらえると嬉しかった。
私は、「おかえり」と出迎えてもらえることが嬉しかった。
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