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現在、私には、結婚を前提にお付き合いしている人がいる。
その彼から、同棲の話を持ち掛けられている。私は、その話を受けようと思う。
だから、実家になんて帰れなくても構わない。親からの「おかえり」も「ただいま」もいらない。
もうすぐ新しい家族ができるのだから、古いものはなくても良い。こだわる必要なんてないんだと、自分自身に言い聞かせる。
彼との同棲生活が始まって三か月が経った。
彼が、私より早く帰ってくることは、ほとんどない。
けれど、そのことに不満なんてない。むしろ、私はそれを望んでいる。彼は、家に着くと、「ただいま」と言ってくれる。
ずっと言ってもらいたかった言葉を言ってくれる。この言葉を聞くために、私は、大急ぎで帰宅する。
そんな彼を出迎えることが、私の幸せ。
いつも通り、一緒に夕食を食べていると、彼が私に一つの質問をした。
私は、その問いに答えることが出来なかった。それは、聞かれたくないことだった。
「今度、いつご挨拶に行けばいいか聞いておいてくれない」
きっと彼は、私にプロポーズをしようとしてくれている。結婚許可を取るために、聞いてきた。
嬉しい言葉のはずなのに全く喜べてない私がいた。
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