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桐生亜貴、22歳。帝都大学を首席で卒業し、貿易を生業としている。生まれも育ちも帝都で、当然神倉村などに行ったことはない。
「亜貴様、社長より再三の呼び出しが来ておりますが」
広い役員室に樫の木でできた立派な机が一つ。その前に本革で作られた椅子に座る亜貴は綺麗な顔を歪ませた。
「放っておけ。どうせ株にでも失敗してその損害を補填しろとか、その程度だろう?」
「仰る通りです。出資した鉄鋼業者が買収されたとか」
「間抜けめ。利用されていることにも気づかんとは」
苦々しい顔の亜貴の前に、上総がそっとティーカップを差し出した。
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