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他にも他国の大商人や、王太子が多く集まった。
出席リストを見ると、なぜか独身者が多かったような。この国の吉兆にあやかって、出会いを求めているのかもしれない──と、他人事のように考えていた。
我が国の王太子エドガルド様、王家が暴走しなければ良い思い出、私にとっての新たな門出となっただろう。
そう、王家がやらかさなければ……。
私はエドガルド様のアホさ加減を、甘く見ていた。それでなくとも長年求めていた番との出会いで、脳みそお花畑に拍車をかけたのもあったのだろう。
***
白銀の短い髪に、狼の耳を持つ青年──王太子エドガルド様が壇上に立った。白の正装を着こなして毅然としている態度は王族らしいが、次期国王としては思慮に欠けている。それを補完するため宰相が五人、補佐役が三人というのだから国王としても苦肉の策だったのだろう。王妃が何でも好きなように与えていたせいだと思うけれど。
「今日は皆に私の番となる人を紹介したい。番紋で結ばれた運命の相手だ」
王太子エドガルドの発言に合わせて金髪に緑色の瞳の美少女──ユリアが姿を見せる。
気品と愛らしさを備えた白と青のドレスを身に纏ったユリアは、パーティー会場の中を堂々と突き進んだ。淑女らしくない歩き方に眉を顰める者はいたが声には出さなかった。
誰が彼女の教育係だったのかしら、卒倒してないと良いけれど。いやまあ、異世界転移で令嬢並みの所作を求めるのは無茶振りだと思うけれど……。
「おお、亜人族にとっては、この上ない幸せであろうな」
「そうでしょうとも。エルガルド殿下は白狼の血を色濃く引いておられる。あの方がおられるだけでこの国は安泰だろう」
「ええ。始祖様と同じように、この国を導いてくださいますわ」
スレーヌ王国は多種多様な種族が集まってできた国。中でも白銀、あるいは白を体に持つ者は、敬意と崇拝を得る。だからエドガルド様の支持率は高いのよね。今の所。私も天使族の末裔だから白い羽根は敬意の象徴だけれど、黒い髪に赤い瞳は悪魔族に近い容姿なのよね。
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