第6話 再会──合い言葉を覚えていますか?2

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(ラフェドが覚えていないのなら、どんなに親し気でも油断したらダメ……) 「……に、してもよく外観だけで、購入しようと思ったな」 「それは購入しないと扉が開かないですし」 「……そういう時は、この竜を起こして買う前に内見させれば良かったんじゃないか?」 「大人しく明け渡すとは思えなかったので……。ちなみに私の立場なら負けても拠点は全力で死守します」 「お前は家を奪われた経験でもあるのか……」 「いやないですけど?」  聖女候補らしからぬ発言に、アルベルトは頭を抱えていたが、すぐに持ち直したようだ。「でかい買い物をする時は、慎重になれ」など忠告を受けたので、シルヴィアは力強い笑みを返す。 「外観に一目惚れしてしまったので……最悪雨露しのげればいいかなぁ、と思っていました」 「は?」  野宿よりはマシというシルヴィアに、アルベルトは「どういう生き方をしたらそうなる」と若干引いていた。そんな大司教を無視して、シルヴィアは家の中に入る。  幸いにも洋館の中は小綺麗で、とてもお洒落だった。一階、二階ともかなり綺麗で整っており、調度品や生活に必要なお風呂や水回りも問題なさそうだ。 (わぁ……!)  ナチュラルで温かみのあるリビングで、木製の楕円形のテーブルに、ベージュ色のソファは三人掛けのものが、二つと一人用のものが三つと中々に数が多い。  暖色系のラグも落ち着いていて、触り心地もいい。インテリアなどは木製の物が多く、壁には様々な本棚が見受けられた。  ドラゴンの住処を強引に略奪した狡猾な人間(シルヴィア)は、早くもこの家に愛着が芽生えつつあった。  アルベルトはシルヴィアが強奪した家だと知っていながらも、別段気にせず本棚を物色している。 (まさに理想のお家! 内装や調度品も最高だわ。何としても、玄関前で倒れているドラゴンと従魔的な(?)契約を結ばないと! この世界の本に、ドラゴンは強い者を好むって書いてあったし! 一発殴って力関係をハッキリさせたので、少なくとも同じテーブルでの交渉の余地はあるはず……!) 「……なるほど、この本はここにあったのか」 (本?)
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