第2話 次の配役は聖女候補のようです1

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 万が一面倒なことになったら、武力行使になることも吝かではないとシルヴィアは決意した。幸いにも自身の肉体や持ち物、ドレスなどに変化はない。  周りには私と同じようにパーティー会場から連れてこられた令嬢や、侍女に、女子学生など様々だ。一貫して少女だけというが気になった。  全員で十人ほどだろうか。  どことなく空気がひんやりしており、誰かに見られている感じがしなくもない。 『ようこそ、我らの国、箱庭(オーリム)へ』  唐突に空から声が振り落ちる。  耳に残るバリトンのいい声に、うっとりとする少女が何人か見受けられた。 (オーリム?) 『今回は聖女候補にふさわしい者たちを、招集させてもらった。これは神々あるいは高位種族からの、ささやかな祝福だと思ってくれてかまわない』 (聖女候補? ……神々? この声……何処かで……うーん)  突然、白い薔薇の花びらが空から振り落ちた。幻想的で美しいとシルヴィアは思いながら、声の主の話に集中する。 『現在存在する迷宮を抜けると、薄い灰色(アイボリー)の街に辿り着く。そこには教会があり、そこで聖女候補の登録をするように。ここでの衣食住などの生活保障は確約しよう。それから聖女となるべく、試練やら依頼をこなすことで実績を積めば聖女と認定される。称号を得た者は、その功績を称え()()()()()()()()()()()』 「どんな願いも……」 「叶えることができる!」 「選ばれた……者たち」 「聖女候補……おとぎ話だと思っていたわ」  どんな願いも叶える――それは猛毒にも近い甘美な囁き。  生活の保障、願い事が叶う。  シルヴィア以外の女性は、この状況に困惑あるいは興奮している者が多かった。自分たちは特別だと、選ばれた優越感ゆえだろうか。シルヴィアは「試練やら依頼」という言葉がどうにも気になったし、期限も意図的に伏せているのか発言がなかった。
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