スキップ・アンド・リプレイ

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 私は独り身だ。残念だけど、住所と家の電話番号を聞けるような人は、翔太以降、一人も現れなかった。翔太の呪いだったらどうしよう。考えると少し怖い。  結婚の楽しみ、子育ての楽しみ、孫に出会う楽しみ。どれも私は得られなかったけれど、その代わりに独り身の楽しみをずっと味わってこられたと、自負している。平日にたっぷりと働き、休日にたっぷりと遊びつくす。それがいかに贅沢なことかと、体が傷み始めた頃にやっと気づいた。  私は年老いてしまった。この先、あと何年働けるだろうか。いつまで遊んでいられるだろうか。このまま、たった一人で死んでゆくのだろうか。眠れない夜はそんな考えが頭をめぐり、余計眠れなくなる。  そんな折の同窓会だったので、出ることができてとてもよかった。いろんな生き方をしてきた人がいる。ここまで、何とか生きてこれた人たちが。それぞれに自分語りをしながら、達成感に近い不思議な満足感が、教室を満たしていった。  そんな時に、ふと、視聴覚室のことを思い出したのだった。翔太が行方不明になる何日か前に、翔太とやったドッキリもどきのようなことを。  あれ、何だったのかな。
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