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しかし頼りにするには、不安要素が大きすぎた。一体これは何の「フリ」なの。今日私誕生日じゃないぞ?
でも、もしも「フリ」だとしたら、乗らないわけにはいかない。一応翔太が大好きなので、要望にはできるだけお答えしたい。
「え、じゃあ、やってみるね」
「うん」
手の甲を上にして、じわじわと指先から教卓の下に差し入れていく。
教卓の下の暗闇を手は泳いでいって。
すううう。
とん。
と、奥の板に中指の先が当たった。
「えっ……何もないよ?」
「えっ」
翔太は驚いて、教卓の中をのぞき込んだ。手を何回も差し入れてみる。でも、中には突き当たりの板、引き出しとなる板、そしてゴミ屑や汚れた文房具があるだけの空間だけしか存在しなかった。
「おかしいっ、おかしいぞっ」
翔太は七転八倒した。首を突っ込んだり、トイレによくある風で濡れた手を乾かすやつみたいに、両手を同時に入れてみたり。
しかし現実が揺らぐことはなかった。
「こ、これは……」
翔太の瞳から光が消えた。
「もしかして……」
「……もしかして?」
「未来に帰れないってことなのか……??」
「いやいやいやいや」
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