スキップ・アンド・リプレイ

　とっさに思ってしまったのは、これが何かのドッキリ、もしくはサプライズではないかということだ。
　いや、まさか。日々のゲームのデイリーボーナスのことしか頭にない翔太に、そんな仕掛けができるだろうか。できるはずがないだろう。
　でも待って。よく考えると、逆に、「ある」のではないだろうか。あっさり相手（つまり私）にバレてしまうような、そんなあからさまなドッキリだったとしたら、リアルに翔太がやりそうでもある。とは、言えないだろうか。
　そうか。そうなのかも。ドッキリだ。これ。しかもサプライズじゃなくて、ドッキリのほうだ。だって今日は誰の誕生日でも記念日とかでもないから。
　翔太ったら、ドッキリを急にやってみたくなったんだな。テレビかなんかでたまたま見かけて。それで、手始めに、私で試してみようと思ったわけか。
　なっるほど〜。
　かわいいな、まじで好き。
　といった思考を一瞬のうちに巡らせて、
「ちょっと、怖いんだけど」
　と、私は怖がる素振りをしてみた。
　すると翔太は、
「ふふふ。やっぱりちなみは怖がりだな〜」
　なんてニヤニヤ笑っている。
　うそだよ。演技だよ。