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お店を出たオレは逃げ出したくなる気持ちを抑えて、あのマンションの前に来た。
ここまで来たら行くしかない。
覚悟を決めてオレはマンションのエントランスに入った。
エレベーターで5階まで行く。そして505号室の前まで来た。
大きく深呼吸を3回する。
鍵穴に鍵を差し込んで鍵を回した。そしてゆっくりとドアを開けた。
部屋には電気が点いていなかった。
「・・・・・・ただいま」
言うか言わないか迷ったが、確証が取れない内はまだオレは客として来ているのだ。
ここで変な動きをするのは逆に危険だと思い、あえて「ただいま」と言った。
暗闇から返事はなかった。
オレは靴を脱いで玄関の電気を点けた。
廊下も明るくなり、少しだけ気持ちが落ち着いた。
部屋の間取りは分かっている。廊下の奥にあるドアを開けるとリビングがあるはず。
オレはゆっくりと廊下を進み、ドアを開けた。真っ暗なリビングに出る。すぐに電気を点けた。
「うわっ」
明るくなったリビング。その中央にはソファーがあるのだが、ソファーの横に女性が体育座りの形で座っていた。
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