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すぐ側にあった温もりが消え失せたことにより、意識が覚醒する。
物音を立てないようにベッドを抜け出す新次郎さんの後ろ姿を眺めながら…胸が締め付けられる。
彼は今日も…左手薬指に光る指輪を外しながら寝室を出ていってしまう。
どうせ外すなら…ずっと外しておけばいいのに。っと皮肉じみたことを考えてしまうが…指輪をつけて帰ってきてくれる彼を見て安心するのもまた事実だった。
新次郎さんが寝室を出ていってから、自分も身体を起こして衣類を身につける。彼は一度出ていってしまうと戻っては来ないので、私が服を着たところでその姿を見られることはない。
っと、完全に油断していたところに…ガチャ、っと再び扉が開かれる音がして、、驚いた私はパジャマに袖を通したままの姿で固まってしまった。
「……あれ、お前起きてたの?」
スーツ姿で…髪もしっかりセットされた状態の新次郎さんがこちらを見て立っている。
「あ……目が覚めてしまって、、」
今起きました、という素振りを見せながらそう答えると…彼は目を細めて少しだけ笑った。
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