深夜26時、逢瀬を重ねる

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******* 「長谷川さーん、今月少しだけ夜勤お願いしてもいいかな?」 前の病院と違って日勤と夜勤のスタッフがはっきりと決まっている訳では無い今の勤め先。夜勤は極力避けたいと面接の時に伝えていたので、滅多に入ることは無かったが…人手不足でたまにこうして頼まれてしまうことがあった。 新次郎さんと会えるのは基本的に夜なので、出来るだけ断るようにしているが、、どうも今回は厳しそうだ。 「あ……分かりました。また日程が分かれば教えてください。」 嫌だ、という感情が顔に出ていたのか…看護師長にとても申し訳なさそうな顔をさせてしまった。 しかし、何でも引き受けているとそれこそ今後もっと夜勤の回数を増やされても困るので…謝るつもりは無い。人にどう思われても、私は新次郎さんとの時間を大切にしたいんだ。 って……そんなことよりも、今は別の悩みが。 「205号室の多岐川(たきがわ)さん。次は誰が担当する?」 「順番的に次は……長谷川さん?」 「長谷川さん、前も点滴交換行った時…余裕そうにしてましたもんね!お願いします、私にはもう無理ですっ!!」 205号室の完全個室に最近入院してきた男性、、 ──…多岐川 宗悟(そうご) さん 20代の若い男性で、交通事故に遭ってこの病院に運ばれてきたのだが─…彼は少しばかり問題がある。
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