深夜26時、逢瀬を重ねる

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かと言って、特に慌てるようなことではない。事故で身体が思うように動かせなくてストレスが溜まって…物や人に当たる患者さんは多く存在する この人が特別、珍しい訳では無いのだ。 「ナイス顔面ヒット…コントロール、良いですね。野球部でピッチャーでもされてました?」 床に散らばった食器を片付けながら話し掛けると、盛大な舌打ちと共に無視されるという…拗ねた子どものような反応を見せる彼が少しだけ新次郎さんの姿と重なって見えた。 ─……新次郎さんも、病院嫌がってたな 以前、全身血だらけで帰宅して来て病院から抜け出してきた…なんて言いながら私に会いに来てくれた事があった。 って…仕事中に新次郎さんとの思い出に浸ってしまったことを申し訳なく思い…慌てて散らばった食事を片付ける。 「……お前、変わってるな」 ふと落っこちてきた声色は……先程とは打って変わって弱々しいものだった。何事かと顔を上げて彼の表情を確かめてみると、、 何だかとても切なげな顔をしていた。
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