深夜26時、逢瀬を重ねる

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「怖くねぇーの?俺のこと」 おもむろに布団を剥いで、自身の足首を私に見せつける多岐川。どうしたのかと視線を足元に向けると…濃く刻まれている刺青が顔を覗かしている ──…足首にいれる人も居るのか、 っとマジマジとそれを観察していると、しばらくしてソレは再び布団で隠されてしまった。 「俺は“そっち系の人“なんだろ?関わったらろくな事がねぇから、看護師みんなでタライ回し扱いだもんな?変に顔色伺ってビクビクされるよりそっちの方が清々しくていいけどね」 ……バレてたのか。これはこれで問題だな。彼がどういう人であれ仕事を放棄するような人間が多く存在すると思わせてしまったならこちら側に問題があるだろう。 「……言いたいことは、それだけですか?血圧を測るので腕を出してください」 なら、私は平等に扱わせて貰おうじゃないか。そして一刻も早くここを出て退院してくれることを切に願う。 大人しく手を差し出してきた彼に、血圧計を取り付けようとした瞬間…伸びてきた腕にこちらの手が掴まれて引き寄せられてしまった。
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