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「……あれ?起きてたんだ?」
高層マンションの上層階、深夜26時を過ぎた頃…この部屋を訪れる彼が言うことは絶対だから。
「おかえりなさい─…新次郎さん」
彼が望むなら、私は何だってする。
寝室に顔を覗かせた彼の元まで駆け寄り、その胸にダイブしようと手を広げて近づくが、、
「待て待て、汚ぇから触るな…って、このやり取り毎日してるよな?マジでドMだな、紬葵は。そんなに俺に説教されたいんだ?……今日は拘束プレイでも試してみる?」
帰ってきた彼は基本的にそのまま風呂場に直行する。なんでも外から持ち帰った”汚れ”を私に触れさせたくはないから、というシンプルな理由からくるものみたいだが…実際目で見える汚れなんて存在しない。
一度シャワーを浴びてリセットしたい、というのは彼のルーティンであり…習慣的なもので。
目には見えない外での人間関係…裏切りや重圧。そういうものを形だけでも洗い流してから、この家で過ごしたい…と願っているように。私にはそんなふうに見えていた。
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