深夜26時、逢瀬を重ねる

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生活を送っている、という言い方には少し語弊があるかもしれない…ここで”密会している”という言い方の方がしっくりくる。 日頃、この家でご飯を食べたりテレビを見たり…なんて生活を送っている訳では無い彼は、深夜に帰宅してきて…私のことを抱いたあと軽く睡眠をとってすぐに出ていってしまう。 この流れは前の家にいた頃となんら変わりない。彼が若頭になろうと、私の”婚約者”になろうと… 何一つ、以前と変わらない関係を続けている。 左手の薬指に光る、彼から貰ったエンゲージリングに触れる。普段から着けられるように…っと配慮してくれたのか、宝石が飛びだしているようなありふれた婚約指輪ではなく、流れ星のように無数に散りばめられた宝石が光り輝く素敵な指輪。 センスまで抜群の彼からの贈り物は全て私の宝物で…どれも大切に使わせて貰っている。 「……珍しいな、紬葵が寝落ちせずに俺を待ってるなんて」 ガチャ…と開いた寝室の扉から、髪が濡れたままの新次郎さんが侵入してくる。ただならぬ色気を放つ彼を直視することが出来ず慌てて視線を逸らしてしまう。
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