深夜26時、逢瀬を重ねる

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会いに行く、、という文字を見て…何となく察するものがある。”帰る”と送ってこないところを見ると…もうあの家は新次郎さんの帰る場所では無くなってしまった…と、そういう事なのだろう。 それでも、こうして返事をくれた事が嬉しい。私のことを忘れてしまったわけでは無かったんだと思うと…それだけで十分、幸せだと思える。 「いい子で、待てしてます」 なんて、彼にメッセージを送るようなことはしないが…声に出して小さく呟いた。 夕方…仕事終わり、真っ直ぐ家に帰り大切にしまっていた新次郎さんからの贈り物をクローゼットの中から取り出す。 ──…純白のウェディングドレス これは以前、新次郎さんとクリスマスを過ごした日に貰った…ウェディングドレス。彼がオーダーメイドして作ってくれた世界に一つのドレス。 会いに来てくれる日が分かったら、これを着て待っていようと決めていた。彼がどんな決断をしても私の気持ちはあの頃から何も変わらないと、そう伝えるために、、 彼の記憶に残る私の姿を、綺麗なものにしたくてどうしてもこれを着て気持ちを伝えたかったんだ
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