古本屋の憂鬱

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古本屋の憂鬱

鼻だ、まさしく鼻である! しかも、その上、誰か知った人の鼻のようだ。                   『鼻』  ニコライ・ゴーゴリ とにかく、古本屋の男はゴーゴリの作品を愛読していた。 ゴーゴリ本人も面白いエピソードが幾つか残っている。 書き溜めてあった『死せる魂』の第二部を再び焼いてしまったりとかだ。 1852年、ゴーゴリは断食により惨たる形骸を残して死んだ。 後世に数多くの名作を残した文豪ゴーゴリの人生をドラマ化したい、と古本屋の男は映画製作会社に依頼した。 製作費は高くなるが、出来ないこともないと映画監督は古本屋の男に言う。 VFXやCGを駆使した大作となると、10億、20億の予算が必要になることもあるらしい。
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