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風邪
校正畏るべし。
福地が条野採菊の書斎に訪れてから3ヶ月が経っていた。
条野採菊の弟子であるお筆が体調を崩した。
自分も投獄された経験があるので風邪で死んだ囚人も幾人か見てきた。
助けなくては。
「あの漢方さえ買えたらね。しかし、漢方は高価だ」
条野の言葉に福地が待てと云う。
「条野殿、お筆殿はそれがしが救おう」
「頼むよ、福地殿。お筆はあっしの大事な弟子なんだ」
福地は眼鏡越しに寝込んでいるお筆の安否を心配した。
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