エリオット殿下とお忍びデート 2話

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エリオット殿下とお忍びデート 2話

 え? と思っているうちに、エリオット殿下の顔が近付いてきた。  反射的に目を閉じると、ちゅっと軽いリップ音を立てて、額にキスをされたようだ。  ……ゲームのエリオット殿下と、現実のエリオット殿下の違いって、ここでもあるのよね……! 「真っ赤」 「……いきなりは、反則ですわ……」 「かわいいなぁ、わたしのカリスタは」  ぎゅーっと抱きしめられて、恥ずかしいけれど嬉しさもあって、あぁあ、もうっ。穴があったら入りたい!  そして、その日はそのまま王宮で休むことにした。急な話だけど、明日、お忍びデートをすることになったから。  というか、エリオット殿下がすでに手を回していたみたい。  王城のメイドに、「明日は私もお休みをいただきましたので、ゆっくり楽しんでくださいね」と笑顔で言われたわ。  エリオット殿下、いつの間に……? 「……明日、デートだから……丁寧に手入れをしなくちゃ……」  ぽつりとつぶやくと、「お嬢さま?」と声をかけられた。  メイドのエリノーラだ。わたくしの侍女だから、ついて来てもらったの。  伯爵令嬢であるエリノーラは、わたくしよりも年上だ。 「聞きましたよ、お嬢さま。明日は殿下とデートなのですね?」 「は、はいっ」 「では、いつも以上に丁寧にお肌と髪の手入れをいたしましょう!」 「は、はいっ!」  ガシッと手を握られて、エリノーラに浴室へ連れていかれた。  ……髪と身体を、それこそいつも以上に丁寧に現れて、「明日はファイトですよ、カリスタお嬢さま!」と熱い声援をもらったわ……  エリノーラにはお忍びだってことを説明したほうが良いかしら? と思いつつ、止められるかもしれないなぁとも思って、言わないことにした。
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