エリオット殿下とお忍びデート 3話

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「早朝でも賑わっているだろう?」 「はい、すごい活気ですね!」  どんなものが売られているのかな、とか、美味しそうな匂いがするな、とか、実際にこの目で見て回る。  すごく活気が溢れていて、みんな楽しそうに買い物をしていた。 「カリスタに見せたかったんだ。わたしたちが守るべきものを」 「……殿下」 「おっと、今は『殿下』呼びはやめてくれ」 「……エリオット?」  ふわっとエリオット殿下が微笑む。そんなに嬉しそうに微笑まれると、なんだか気恥ずかしくなってしまうわ……! 「行こう」 「はい」  手を繋いだまま市場を歩いていると、いろいろなものが売られていて目移りしてしまう。  野菜やお肉はもちろんのこと、小物までも売られていて驚く。  そして、市場に集まっている人々の活気にも。  みんなはこうして日々の買い物を楽しんでいるのね……となんだか楽しくなってきた。  お金を持ってきていないから、見ているだけなのだけど。  そんなことを想っていたら、エリオット殿下が串焼きを売っているお店で串焼きを買い、わたくしに一本渡した。  それから、ジュースを売っているお店でジュースも。手を離してジュースもしっかり持つ。 「ベンチで食べよう」 「え、と、はい」  ベンチも人気のようで賑わっていたけれど、空いているスペースにふたりで座った。
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