婚約破棄イベントが壊れた! 2話

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婚約破棄イベントが壊れた! 2話

 マリーさまはエリオット殿下に抱きつこうとしたのか、腕を広げて突進してきた。待って、このままだとわたくしにぶつかる!  避けようとする前に、エリオット殿下がわたくしを抱き寄せ、すっと横へ移動した。 「……どうして避けるんですか」 「婚約者でもない相手を、抱きとめる理由はないだろう?」  あの、ちょっと待ってくださいな!  なんでヒロインとヒーローが火花を散らしているのですか!  ねえ、わたくし、当事者だよね? 当事者のはずだよね? さっぱり話が見えないんですけど!? 「エリオット殿下、マリーさまの話を聞いても……」  良いのでは、と口にしようとしたら、彼女がギロッと睨んできた。怖いわ!  ちょっとヒロインがそんな顔しないでよ!  わたくしの中のマリーちゃんは、天真爛漫(てんしんらんまん)な天使なんだから! 「聞いてください! エリオット殿下! 殿下はカリスタさまに(だま)されているんです!」  そんなセリフ原作にないよ!? 何回ノーマルエンドを繰り返したと思っているんだ。おかげで技術系のスキルもコンプリしたわ!  そしてそれを()かして、学年二位の成績にまでなったんだから!  ちなみに学年首席は毎年エリオット殿下だった。  一度も勝てたことがない。ちょっと悔しい。だってあれだけやり込んでいたのに! 「カリスタがわたしを騙す? なんのために?」  まったくだ。  ……いやいや、彼女の話もちゃんと聞いてあげてください、エリオット殿下。  悪役令嬢として、やれることはやったはずだよね、わたくし。  さすがに命の危険がある(おこな)いはしてないけど……
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