婚約破棄イベントが壊れた! 3話

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婚約破棄イベントが壊れた! 3話

『カリスタ。きみのことはとても良い婚約者だと信じていたのに、わたしを裏切ったんだね。マリーに危害を加えようとし、周囲の学生と一緒になっていじめるとは……きみを信じていたわたしが(おろ)かだった』 『そんな……! 殿下、違います! わたくしはただ……!』 『黙れ! なにも聞きたくない。カリスタ、きみとの婚約を破棄する! ……怖かったろう、マリー。もうきみは、なにも恐れることはないんだ』 『エリオット殿下……ありがとうございます……!』  こんな感じのイベントなんだよ、本来は!  おかしい、絶対おかしい。そりゃあ原作のカリスタはマリーに危害を加えようとしたわよ?  階段から突き落とそうとしたり、ぶん殴ろうとしたり、まぁほぼ未遂(みすい)で終わっているんだけどね!  原作の『カリスタ』の良いところは、周りの人たちが『手を貸します!』と言っても、断って全部自分の力でやろうとするところ。  でもね、でもね。全部自分でやろうとするから、バレバレになってね、卒業パーティーで婚約破棄を宣言されるんだけどね?  ……そうなるように、わたくしもがんばってきたつもりなんだけど――!?  さすがに原作の階段から落そうとしたり、ぶん殴ろうとしたりはしなかったよ?  命の危険があるのはアウトだと思うし。なので、チクチクと嫌味……というか、正論を口にする機会はなぜか多かったから……まぁ、マリーさまの目には、わたくしが彼女を嫌っているように見えたでしょう。 「それにきみは、あろうことかわたしを誘惑しようとした」  ……え? 「だって、あんなに見つめられたら、どんな女性だってころっといきますわ!」 「ころっといかない女性が、ここにいるのだが?」
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