婚約破棄イベントが壊れた! 3話

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 じーっと見つめられて、わたくしは首を傾げる。 「それに、見つめていたわけではない。睨んでいたんだ」  待って、なぜエリオット殿下がマリーさまを睨むのよ?  もうわけがわからないよ……! 「……あの、申し訳ありません。まずはひとつ、確認したいことがあるのですが……?」 「なんだい、カリスタ?」  うわぁ、すっごいイケボ。なんだその砂糖にはちみつをかけたようなあまぁいボイスは!  ゲームでもそんな声してなかったよ!?  そんな声を直接聞いてみなさい、破壊力バツグンだから!  っと、そうじゃない。そうじゃなかった。 「おふたりは、恋仲だったのでは……?」 「冗談でもやめてくれて」 「秒でそんな返事、ひどすぎませんか? エリオット殿下!」  食い気味で否定された。  ええ、じゃああの噂はなんだったの?  エリオット殿下とマリーさまが逢瀬(おうせ)を繰り返していっていう噂はなんだったの?  わたくし、あの噂を聞いて『お、マリーちゃん王太子ルートか。よっしゃ、がんばって婚約破棄まで持っていくぜ!』ってがんばったのよ? 「なぜそんなことを?」 「エリオット殿下とマリーさまが、逢瀬(おうせ)を繰り返しているという噂が……」  火のないところに煙は立たないっていうし、わたくしはマリーさまが王太子ルートに入ったと思ったから、できる限り悪役令嬢やっていたのに!  王太子ルートじゃないとしたら、誰ルートだったんだろう? 「直接聞いてくれたらよかったのに。そうしたら、光の速さで否定できたのに……。すまない、きみの耳にまで届いているとは思わなかったんだ」 「え? は、はぁ……」
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