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一目惚れ
ガーネット・ブックヴェール伯爵令嬢、16歳。
ブックヴェール伯爵家の屋敷に近い小さな森で、村の子供たちと過ごすことが多い。
普段から屋外を走り回っているためか、少し焼けた健康的な肌。大きな目を輝かせ、木登り、チャンバラ、魚釣り、果実の採取などと日々を楽しんでいる。
老夫婦や独り住まいのご老人、教会への奉仕作業を欠かさないという一面もあり、伯爵令嬢としての任務も果たす。
「ガーネット、今日は『お客様がみえる』って言っていなかったっけ?」
幼馴染みで従兄のマルクスが、子供たちと一緒に木苺を頬張る私に声をかける。
森の入り口の草原で、村の子供たちとピクニックを楽しんでいた。
「ふぇ?もうそんな時間?しまったぁ、後でお父様から大目玉かな」
私は立ち上がり、スカートに付いた草を払う。
屋敷の方へ目を向けると、立派な馬車が屋敷の門から出てきたところだった。
―――馬車の窓から見えた、金髪の若い男性。
「おおぉ、乗り心地が良さそうな馬車だな。子供の頃だけど、馬車に乗った夜はケツが痛かったって記憶が……おい、ガーネット?」
放心状態の私に気がついたマルクスが、私の肩を揺する。
「………どストライク……」
相手が誰なのかわからないまま、私は馬車の主に恋をした。
これが私にとって初恋だった。
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