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羞恥と懇願
勇作は誰かにみられながら自慰行為をするのは初めてだった。いつだって一人きりで隠れるようにベッドの中で自身を擦り達する。きっと、その行為がいけないことだということを、心の中でわかっていたからだ。
一人暮らしの今だって、ベッドでコソコソとやるくせがとれていない。だから、カーテンの開いた月明かりの下で大っぴらに足を開いたまま自身に触れていること事態が十二分に興奮する。それに加えて自分が今から抱かれる男に見られながらとなると、心臓が口から飛び出しそうなくらいの最高潮だ。
ベッドの向こうにこちらをじっと見つめる瞳がある。退屈させないように後ろの穴もしっかりと目に入るように股を広げて手を動かしていく。
「んっ、あっ……」
高潮している体はすぐにひくつき感じてしまう。上下に擦るだけで腰が浮き上がる。
「あっ、あっ……」
抑えられずに漏れる声は、恥ずかしいというよりも愛して欲しいという願いが込められているような不思議な感覚で、どうかこの思いが旺志郎に届いて欲しい。
「イけ……」
たった一言の命令に頷くと、勇作は手の動きを加速させていく――。
「あっ、あっ、んんっ……イック……んっ……」
自分の手の中ではなく、わざと顔射させるのを見せつけた。飛び散った精子が顔中にびちりとついている。舌を伸ばし、それを舐めとる。
届かないところはそのままにしていると、ようやく旺志郎がにたりと笑って近づいてくる。
「お前……えろすぎる……」
右手で顎の下から顔を固定すると、頬と耳の間くらいの場所をぺろっと舐められた。
「んっ……」
「さあ、ここからどうして欲しい?」
「僕を抱いて欲しい……」
「じゃあ、俺をその気にさせてみろ」
こくんと頷くと、勇作は倒れていた体を起こし旺志郎の体をベッドに押し倒しその上に跨がった。
上体を倒してくると、おでこにちゅっと口づけてそれがゆっくりと下りてくる。首筋から腕、脇腹にお腹、そして胸元にさしかかった瞬間にぺろりと舌先で乳首を舐められた。
「くっ……」
久々に感じる人から与えられる感覚にすぐに反応してしまう。
ちゅぱちゅぱと音を鳴らしながら舌先で転がされたり、吸われたり、かりっと歯をたてられたり、もう片方も指先で転がされたり、弾かれたり、摘ままれたりして両方で遊ばれる。
まさか、自分がこれほどに敏感に反応するとは旺志郎自身も思っていなかっただけに驚きは隠せないけれど、それでももっとこの時間を感じていたいと思っているのも確かだった。
「お前はすごいやつだな……」
「そうかな……?」
「俺をここまで本気にさせるなんて……」
今まで仰向けだった体を回転させて形勢逆転し、今度は旺志郎が勇作に覆い被さるようになると優しく口付ける。
首筋に顔を埋めてキスを落とせば、勇作から甘い声が漏れている。耳を擽るその声に旺志郎の中心がずくんと疼く。
耳朶を食むようにして甘噛みすると、きゅっと肩を縮こませながらも背中を反らしている。
「もっと喘け……」
命令すれば、コマンドされた勇作は感情のまま喘ぐだろう。
自分の与える快楽に思いのまま乱れる様をこの目に焼き付けたい――そう強く思っていた。
そしてだんだんとキスを落とす場所を下げていき、すでにぷくりと主張している先端を舌でぺろりと舐める。ちゅっとわざと音を響かせながら吸えば「んっ……」とくぐもった声を漏らす。
反応一つ一つが擽ったくて堪らない。
ゆっくりと利き腕を伸ばし、ようやく勇作の勃ち上がっているモノを少し乱暴に掴むと、待ち望んでいたかのようにぴくりと反応した。
「もっと早くこうして欲しかったんだろ?」
旺志郎の問いかけに勇作が素直に頷く。決して嘘をつくことなく自分の気持ちをそのままに伝えてくるからそこがいい。
「んっ、旺志郎……」
「動かすぞ。感じるまま喘け」
「わかった……」
握るだけでは物足りなさそうに旺志郎の名前を呼ぶ勇作に、再び命令すれば素直に頷き返事をする。俺の与える快楽にどんな声で喘ぐのかと想像するだけで体の中心がぞくりとした。
握っていた手を上下に動かしながら唇を重ねる。触れるだけのキスがだんだんと深くなり、我慢できない勇作が口の端から透明の液を垂らしつつ甘い声が漏れ始めている。
「はぁっ……」
感じているのは間違いない。でも、まだまだ足りない――。もっとだ、もっと感じろ。俺のことを、俺だけのことを感じろ。そう心の中で何度も願う。
すいている手を止めると、「な、んで……?」と小さく問いかけてくる声がして視線を向ければ月明かりで見える表情はとても悲しそうな顔をしていた。
旺志郎は優しく微笑むと自分の体を移動させて握りしめている手を付け根へとずらすとぎゅっと握りしめて口の中へと咥え込んでいく。
「んはぁっ……」
頭を上下に動かす度にどんどんと口の中いっぱいに膨らんでいくソコは、今にも弾け飛んでしまいそうなほどで、自然と漏れる声は抑えられることなく喘いている。
「あっ、旺志郎……」
限界が近いのか、ぎゅっときつく腕を握り名前を呼んでくる勇作は余裕ない表情で旺志郎を見つめていて、いかせて欲しいとねだっているように見える。
そんなすぐにはいかせるわけにはいかない――。
旺志郎は緩く掴んでいた付け根にくっと力を入れて圧迫した。
「うっ……旺志郎……?」
「そんな簡単にいかせたら、つまらないだろ?」
「そんな……ねえ、おう、し……うっ、あぅっ……」
口答えする勇作にお仕置きめいたように更にぐっと握り込むと、苦しそうに顔を歪めている。
その顔を見つめながら喉の奥まで咥えると、ゆっくりと先端へと移動させる。
「ふぁっ……あっ、あっ……」
何度も何度も同じ動作を繰り返す度に、苦しそうに眉を寄せているのに喘ぐ声は感度を覚え始めているみたいに甘くて興奮させられる。
――さあ、勇作……言え――
真っ直ぐに目を見つめれば、くっと背中を反らした勇作が白のシーツを握りしめると小さく口を開く。
「僕をイカせてください……」
強く握っていた根元を解放すれば、一瞬で口の中へと欲望を弾け飛ばす。それを溢すことなく飲み干すと満足そうにこちらに向かって表情を崩して笑っている。
ここからが始まりの時間だ――。
さあ、もっと喘け――。
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