嫉妬心と本能

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嫉妬心と本能

 夜はまだまだこれからだ。  夜明けになる前に、勇作が欲しい――。  何かを感じ取ったように勇作は旺志郎の元へ近づくと、両手で体を包み込み耳元で囁いた。 「今すぐ僕を抱いて……」  擽ったさの中にどきどきする感情が混じり合って、それだけで気持ちが高まっていた。  勇作は旺志郎から離れると少し離れたところへ移動し、自らベッドの上にうつ伏せになると、お尻を高く上げ両方へ開いていく。  赤く染まっている蕾の形がしっかりと見えるように開かれたソコは、まるですぐにでも挿れて欲しいと言っているみたいだ。 「今まで何人くらいと関係を持った?」 「三人……」 「そいつらは、お前を満足させてくれたか?」 「それなりにね。でも、僕を興奮させたのは旺志郎だけだよ」  自分が初めてじゃないということに、苛立ちを覚えながら一歩一歩勇作へ近づいていき、突き出している形のいい尻をぐっと掴む。 「はぅ……」  痛さからなのか敏感になっているからなのかわからないけれど、艶めいたものとは少し違う声を出されたことで、旺志郎の中で何かが変わった。  膝を折り、ベッドに跪くと、掴んでいた手をそっと添えるように置き換えて、窪みの間に顔を近づけていき、蕾の中心をぺろりと舐める。 「んっ……」  何かを期待するようにきゅっと締まったそこは、解されていないせいか自ら開きはしない。何度も舌を動かして、舌先を少しだけ差し込んでみる。 「あっ……」  すぐに気持ち良さそうにぴくりと震えたのを感じ取ると、差し込んでいた舌を抜き指をゆっくりと挿入する。 「うっ、あっ……くっ……」  久しぶりだからだろうか――なかなか指が進まない。挿れても押し戻されてしまうを繰り返していた。 「経験済みって言ってたくせに……」 「だって……もう何年もしてないし……」 「へえ……挿れて欲しいといってるみたいに誘ってたのに?」 「だから……それは早く旺志郎と一つになりたくて興奮してるって言ったじゃん……」 「だったら、もっと上手に指を咥え込まなきゃいけないんじゃない?」 「わかってるけど……うまくいかなくて……」  早く気持ち良くなりたい気持ちとうまくいかない焦りからか、涙目でこちらへ振り返った勇作が堪らなく愛しいと感じていた。  少しくらい強引に指を進めたいと思う気持ちを抑えながら、ゆっくりと指を進めていく。 「あっ、くっ、あっ……」 「やっと中指の根元まではいった。動かすよ……?」 「う、うん……」  確認するように尋ねると、こくんと頷いたのが見えて、中で第一関節をくいっ、くいっと何度が動かしてみる。 「はぁっ、あっ……」 「なに、気持ちいいの?」 「うん……気持ちいい……すごくいい……」 「へえ、こっちより、こっちの方が気持ちいい?」  四つん這いの体の中心から垂れ下がっているペニスを掴んで問いかけ、離してから挿したままの中指をぐいっと突き上げると、「ひぁっ」と声を漏らしている。  どっちに触れても反応しているし、どちらも気持ち良いということで間違いはないはずだ。 「後ろ、後ろがいい……後ろをもっと弄って僕が壊れるくらい感じさせてっ……」 「わかった。たっぷりと愛してやる……」   勇作の願い通り、指の動きで中をぐちゃぐちゃと音が出るくらい掻き回すと、口からも蕾の中からも透明の液体が溢れ出している。  締まりのない淫らな姿が旺志郎の感情をどんどんと煽っていく――。 「ほらっ、気持ちいいなら――もっと喘けよ」 「あっ、いい……旺志郎、きもち、いい……」 「このまま、イけ……」 「んっ、もっとぐちゃぐちゃに掻き回してっ」  あんなにキツかった入口は、もうすでに三本も咥え込んでいて、旺志郎の指をしっかりと絡み付けてくる。  その中にあるコリッとした部分を擽るように奥で動かせば、背中を反るようにして甘く息を吐く。 「あっ、イクッ……はぅっ、あっ……」  全身をブルッと震わせると、びくんと跳ねてそのまま体をベッドに力なく沈めている。  勇作のうつ伏せになっている体を回転させ自分の方へ向けると、もう十分すぎるほどに反応しているペニスを両方に開いた息をする度に開閉している部分にあてた。  期待するようにきゅっと閉まってまた花開く――。  その中へぐぐっと推し進めていく。 「くっ、あっ、はぁっ……」 「うっ、きつっ……」  思っていたよりもずっと締め付けられて、根元まで入るのに時間がかかってしまった。旺志郎の形に馴染むまで、最奥で静かに待つ。  深呼吸をしながらそれに合わせるように入口が開閉する度に、勇作が旺志郎のモノにくっと張りついてきて圧迫される。  吸いつくように絡んでくれば自然と体が反応し、中でびくんと動く。そうすれば勇作も気持ちがいいようで、甘く鳴く。  そんな時間が続いていると、物足りなくなったのか薄っすらと涙を浮かべている勇作が真っ直ぐに旺志郎を見つめた。 「どうした?」 「旺志郎……僕をもっと気持ちよくして?」 「じゃあ、どうして欲しい?」 「僕の中で激しく動いて欲しい……」 「いい子だね……。なら、いくぞ」  ぐいっと勇作の両足を持ちあげて自分の方へ引き寄せると、一気に奥まで突き上げた。 「あっ、あっ……」  腰を押しあてたまま中で律動を繰り返し、しっかりと前立腺を捉えながら確実にそこを攻めてたてていく――。 「あっ、そこ……きもちっ……」 「ここが感じるのか?」 「うん……そこ、そこがきもち、いいの……」  何度も何度も打ちつけて開きっぱなしの口からは透明の液が垂れている。  それを顔を近づけて舐めとると、そのまま唇を押しあててくるから受け入れて深く絡めていく。 ――ちゅっ、ちゅっ、はぁっ、ちゅっ――  リップ音と結合部の卑猥な音が響く中で、勇作の体が震え始めていることに気づいた旺志郎は、ぴたりと動きを止めた。 「うぁっ……なん、で……?」 「ちゃんとお願いしなきゃね……」 「う、ん……。旺志郎、お願い……僕をイカせて下さい……壊れるくらい奥まで突っ込んで下さい……」 「勇作はそんなこと恥ずかしがらずに言えるんだ?」 「だって、欲しいんだ……旺志郎が……欲しくて堪らない」 「望み通り……全部やる……だから勇作、受け止めろ」  そうコマンドすれば、こくんと頷き、しっかりと旺志郎の首に腕を回してホールドしてくる。  旺志郎も勇作の腰をしっかりと支え、その体をぐいっと持ち上げて向かい合う形を取ると、下から一気に突き上げた。 「あっ、あっ……」  旺志郎の動きに合わせて勇作も自ら腰を振り、目の前にある乳首を軽く噛めば、嬉しそうに旺志郎の上で妖艶に踊る。  負けじと旺志郎も下から一気に攻め立てていく。 「あっ、いい……はぁっ、あっ……」 「ほらっ、まだまだ終わらないから……。勇作……」 「おう、しろ……ねえ、後ろから突き刺してよ」 「じゃあ、自分で好きな格好になれ」 「わかった……」  ぬぷりと旺志郎の上に座って挿っていたペニスを抜き、ベッドに四つん這いになると高くお尻を突き出してくる。 「ここに、旺志郎のペニスを突き刺して下さい……」  蕾を両手で左右に開き、さっきまで旺志郎のモノをしっかりと咥え込んでいた場所はまだ閉じられてはいなくて、ピンポン球ほどのブラックホールが今にも挿れて欲しそうにこちらに向けられている。  がしっと両手で腰をホールドさせると、旺志郎は勇作の望むまま最奥へと欲望を捩じ込んでいく。 「くはっ、あんっ、あっ……」 「くっ、な、きっつ……」 「あっ、あっ、きもちっ、きもち、いい……」 「勇作、最後の命令だ。イけ……」  最後のコマンドを耳元で囁けば、体をぶるっと震わせて腰を振る。旺志郎も一気に律動を速めていく――。 「あっ、あっ、イクッ、もう……イクッ」 「俺も、もう……」 「全部受け止めるから、中にちょうだい……思いっきり吐き出してっ……」 「勇作……」 「おう、しろう……あっ、イクッ、はぅっ……」  お互いに限界が近いことはわかっていて、繰り返す律動に痙攣する体に、鞭打つように突き上げていく。  相変わらず締めつけが弱まることはなくて、動く度にしっかりと絡みついて擦りあげられる刺激に感じていた。 「いくぞ……」 「きて……おう、しろ……あぁっ……あっ……」 「くっ、イクッ……」 「ぼく、も……イクッ、イッちゃう……」  ぐぐっと奥深くまで突き上げた瞬間、勇作はびくんと体を震わせて声を出すことなく力を失った。  旺志郎は、そんな勇作の最奥で自身の欲望を全て吐き出す。 「はぁ……はぁ……はぁ……」  乱れた呼吸が整うまで、目の前で気を失っている勇作の髪にそっと触れる。  このままここにいられたら――叶うはずのない夢を思いながら、静かに涙が頬を伝う。  離れたくない――旺志郎は初めての感情に戸惑いながら、勇作の体を綺麗にしていった。 ********************
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