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プロローグ
昔の言い伝えで月の兎は不老不死の薬を盗んで月へ逃げたと聞いたことがある。
真実はわからないけれど、勇作は何故かその言い伝えが嘘ではないと思えて仕方がなかった。
別に不老不死の人間が存在していると思っているわけではないが、この世のどこかではそういう摩訶不思議なことが起こっていたとしても頷ける気がしていた。
本当にいるなら出会ってみたい――そう強く思う。
空を見上げれば大きな満月が綺麗な姿を現していて、心の中で願ってみる。
――もしもこの世に不老不死の薬で生き続けている生き物がいるなら、出会わせて欲しい――
胸を押さえて目を閉じる。
叶うかどうかはわからない。それでも勇作は願わずにはいられなかった。
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