村長

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村長

 大杉未来と新人の杉下夢は次の日ホテルの朝食バイキングで打ち合わせをしていた。  「杉下さん今日は(自分勝手村)の村の中心部に行くわよ。田舎だからここから中心部まで車で10分かかるのよ。 あまり早く行っても迷惑だろうからしっかりと朝ごはん食べてね。 昨日の夜編集長に連絡したら、村長に連絡してくれたって〜編集長は前に一度ここに来た事があるらしいのよ。その時自分で取材してうちが毎月出している(大人の楽しみ方老後をどう生きるか?)に載せようとしてたらしいんだよね?  何で取材しないで直ぐ会社に戻ったんだろう?忙しかったって言ってたけど、今考えるとさ〜編集長この取材の事で何か私達に隠してる事があるんじゃないのかしら?  それに今、考えるとさ〜編集長この(自分勝手村)の事が気になるけど自分では取材したくないような感じがしたんだよね?気のせいかな?  それにね人間みたいなペットの事を取材して来てほしいって?  人間みたいなペットって?どんなペットなんだろうね?それにこの村ちょっと変わった風習って言うか?習慣って言うのがあるらしいよ」  「先輩〜そう言いつつ顔が笑ってますよ。田舎暮らしの事しか頭にありませんよね?」  「わかる〜。さあこれから取材で忙しくなるわよ先ずは町長の家に行って取材の許可と私が1年間住む家を探してもらわないと不動産会社もきちんと紹介してもらわないとね。  いい杉下さんあなたはちゃんと取材の内容メモとボイスレコーダーで撮るのよ。私はいろいろ聞き出すから」 杉下は言った。「先輩〜今時、ボイスレコーダーとメモ?携帯じゃあ駄目なんですか?」  大杉未来は言った「ここは山奥だよ。今時、山でも携帯使えると思うけど、万が一携帯使えないところがあったらどうするの?ここは山奥の田舎なんだから」  杉下は「はい分かりました」と答えた。 そして「じゃあそろそろ町長のところに行きますか」 「はい、先輩」 二人はホテルの朝食ビュッフェを堪能した後一度部屋に戻って身支度をしていた。  大杉はフロントに電話をかけて「部屋空いてたらもう一泊お願いしたいんですけど」とホテルのフロント係に言った。 フロント係は「田舎ですからねー。空いてる部屋あるので埋めてくれると嬉しいです。ゆっくりして行ってください」と言ってくれた。  今日、部屋が見つかるとは限らない。 キャンプ道具も準備して来たけどもう一泊して身体休ませる事にしよう。  「さて取材の準備はできたし、杉下さんも準備できたかしら?」 大杉は杉下に携帯電話で電話を掛けた。 「杉下さん私だけど準備できた?」 「先輩準備できました」 「そう、じゃあ一階のフロントに来て私も今、向かうから」 二人は自分勝手村ホテルのフロントに向かった。  大杉がフロントで杉下を待っていると杉下がエレベーターで降りて来た。 それを見た大杉は「それじゃあ駐車場に停めた車で村の中心部に行きますか、村長さんにいろいろお話を聞きましょう」 「そうですね。どんな話が聞けるか楽しみですね」 二人はホテルの駐車場に向かい大杉のキャンプ用の大きな車に乗り込んだ。  車を10分走らせると村の中心部に着いた。  「思ったより家がたくさんあるのね。住んでる人も思ったより多そうね。えっと緑の屋根が町長 さんの家〜あっ、あそこの家よ杉下さん行ってみましょう」 大杉未来は町長の家のチャイムを押した。 「ピンポーンピンポーン」 暫くすると70歳くらいのお爺さんが出て来た。 二人はてっきり70歳くらいのお爺さんだと予め聞いていたのでラフな格好でゆっくりと玄関まで来るのかと思っていたが、二人が想像していたお爺さんのイメージとは違っていた。  背筋はピンとして紺色のスーツでネクタイを締めてチャイムの音から僅かの時間にテキパキと70歳くらいのお爺さんが玄関で二人を出迎えた 「青空出版から来た大杉さんと杉下さんですね。青空出版の編集長の田辺さんから聞いています。私が町長の如月勉です。この村の取材ですか〜編集長は直ぐ逃げて行きましたがね〜大丈夫ですか? あの編集長〜うちの子達に馴染めなかったし、村の子供達にも馴染めなかったようですがね〜住民とも馴染めなかったですし〜」 大杉は言った「そうですか〜編集長が〜でも私達は大丈夫です。1年間ここに住んでこの村を取材してこの村を盛り上げますから」 町長は二人に言った「そうかね〜じゃあ二人に会わせたい近所の人とうちの子達に会ってもらいたいんだ」 大杉は言った「あの〜さっきからうちの子って言ってますが〜誰なんですか?うちの子って?町長のお子さん達は村から出て行って都会で生活してるって聞きましたが?」 「まあ、そのうちわかるで少し待っていてくれないか?会わせたい人に連絡入れるから大勢いるでな外で待っていてくれ。それに私も着替えないとね」 「えっ?着替え?今何処かに出かけていたんですか?立派なスーツ着ていますが」 「これは違う。とにかく前方に運動場があるだろう?そこで待っていてくれ、たくさんのうちの子に会ってもらいたいんだ。近所にも連絡するからとりあえずあそこの運動場で」 大杉は町長に言った「あんなに大きな運動場に?山奥なのにそんなに住人がいるんですか?」 町長は言った「そのうちわかるで住民がどんなものか?そのうちとにかくあの大きな運動場じゃないと入りきれないんだよ」 「そ、そうですか分かりました」 そう言って二人は山奥の小さな村と編集長から聞いていた話と違うなー?山奥には合わないような大きな運動場だけが、一際目立つあんな大きな運動場がこんな山奥に必要なのか?  それにうちの子達って誰なのか?町長が着替えて来るって言ってたけど?立派なスーツだったのに着替える必要あるのか?  二人はそんな事を考えながら運動場に向かった。 二人は暫く運動場の端にあるベンチに腰掛けた。  少しベンチに腰掛けると町長と近所の男の人5人が運動場に向かって歩いて来た。  二人は5人と町長の姿に驚いた。 町長は「お待たせしました外出用に着替えて来ました。皆んなも着替えて来たので」 大杉は言った「先ほどのスーツは?外出用じゃなかったんですか?」 町長の如月は「あれはこの住民の私服ですが?パジャマですね」 二人は「えっ?」と空いた口が塞がらなかった。 「その姿がいつもの姿?外出用の?」 町長と5人の男達は言った。 「はい、そうですが」 大杉は初めて会う(自分勝手村)の住人に驚いた。 5人の若い大人の男の人と町長は全員上が白いランニングシャツと下は短パンだった。  そして集まった男の人は言った。 「スーツはパジャマですよー」とでも驚いたのはそれだけじゃなかった。二人はその後町長が言っていた。うちの子達に会う事になった。  二人は町長に「あの〜うちの子達とは?」 町長は笑った「あっはっは……うちの子達は可愛いからの〜可愛がってくれよ。もう直ぐ来るかの〜大丈夫お二人はきっと気にいると思うから」  大杉と杉下は考えている事が同じだった。 「ここは異世界?うちの子達って誰〜?そして私達の事を照れながら恥ずかしそうに隠れて見ている子供達〜何で望遠鏡でこっち見てるの〜?何で来ないの〜?」   「あ〜ここの子供達は恥ずかしがりやだからー あーやって望遠鏡でこっちを見てるんだよ。違うところから来た人とあまり話さないんだよ」 大杉と杉下は聞いた。 「うちの子達って周りで隠れながら望遠鏡を覗いている子供達のことですか?」 町長は笑いながら言った「違うよ〜村の住人達達だようちの子達はもう直ぐ来るから待ってなさい」 「おっ!来た来たうちの子達が」 二人は言った「えーうちの子達って?」 町長は言った「そうだよ。この村の住人だよ」 「えー」  二人は大声で叫んだ。 続く
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