取材

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 「初の大仕事だよ大杉さん頼みましたよ。 大杉さんのアシスタントは新人の杉下さん同行してください。杉下さんは近くのホテルに一年間 滞在してもらいます。  杉下さん大杉さんの仕事を手伝いながら雑誌の記者として取材のノウハウをしっかり学ぶように!後輩が先輩の手伝いをしながら記事の書き方取材の仕方を学ぶのは先輩達全員通って来た道だからね。わからない事があったら大杉さんに聞くように。では今日の会議はこれで終わりです」  編集長の田辺仁志はそう言って自分が座っていた会議室の椅子から立ち上がった。  その時、大杉未来は編集長の田辺に言った。 「編集長本当に私でいいんですか?特集を全て私がやっても?」  大杉の言葉に田辺は笑いながら言った。 「大杉さん。君は今年で青空出版に入社して3年目だよね。  もう立派な記者だ。自信を持って独り立ちしなさい。今回は田舎特集だしっかり取材して記事を書いてパソコンで送ってくれよ。  それに君、田舎で暮らしてオンラインで記事を書いてうちの本社に記事を送る生活がしたいっていつも言ってたじゃないか。  大杉さんにぴったりの企画だろう?山奥に引っ越しできるんだぞ?大杉さんは田舎に暮らす為の新居を探してだんだからちょうどよかったじゃないか」 大杉未来は言った。  「ありがとうございます。それにしても自分勝手村なんて変わった名前ですね」 「自立して生活するって意味らしいよ。まさか本当に自分勝手な人間ばかりいる村なんてある訳ないさ」 「そうですよね」  「とにかく明日からここに来なくていいから (自分勝手村)に杉下さんと行って来なさい。 行き方の地図は後で携帯に送っておくから 杉下さんはもうホテルの予約を1年間取ったからそっちに泊まってもらうよ。 大杉さんはちょうど新居を探してたんだから明日すぐ新居探すように。しっかり1年間頼みましたよ」  大杉未来と杉下夢の二人は珍しい村の名前の (自分勝手村)に取材に行く事にたった今、会議で決まった。 二人が勤めている青空出版社は月一度ネットと店頭で売っている大人の楽しみ方老後どう生きるか?という高齢者が最も喜びそうなタイトルの雑誌を出版させていた。  今回は田舎に住もうという企画でほとんどの人が知らない田舎に住んでみた特集をやろうという事に決まった。  もともと田舎に住みながらオンラインで仕事をしたいと社内で言ってた大杉に白羽の矢がたったのだ。  大杉未来にとって初めての大仕事で特集の全てを任されたのだ。  しかも1年間も田舎生活……大杉は嬉しくてたまらなかった。  田舎に住みたい事と特集を全て任せてもらえる。この2つの夢が同時に叶った事で胸の高鳴りを覚えた。  大杉未来はこの仕事を先輩達のように成功させなければならない。明日から(自分勝手村)に行って住居を何とかしないと。  大杉未来は憧れの田舎暮らしの事を想像して 顔がにやけていた。  「先輩明日宜しくお願いします」 杉下夢は大杉未来に言った。 大杉は「明日の待ち合わせとかあるから杉下さんライン交換してくれる?向こうに行っても連絡取り合いたいし」そう杉下夢に言った。  二人はまだ知らなかった。 自分勝手村に住んでいる人達が癖の強い人ばかりだという事に…… ちょっと変わってる村だという事も何も知らなかった。 続く
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