私が選んだもの

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          -6-  麻里子は就職し、ホテルのフロントで働くようになった。泉沢と麻里子は休みが合うと一緒にドライブに出かけた。  そんなことが一か月ほど続いたころ、麻里子は泉沢に電話をかけた。 「泉沢さん。相談があるの」 「今、運転中。あとでかけなおすよ」  二人は仕事を終えた後、以前よく使っていたファミレスで落ち合った。今日も、二人を待っていたかのようにいつもの窓際の席が空いていた。 「顔が曇ってる。どうした?」 「うん。あのね。私、急に転勤することになって…」 「へえ、どこ?」 「沖縄です・・・」 「すごいじゃん! ホテルチェーンで沖縄に行くって多分出世コース!」 「部長もそう言ってたわ。でも・・・、でもね。泉沢さんだったらどうする?」 「どうするって、会社の辞令なら当然行くじゃん」 「例えば好きな人がいて、それで離れ離れになるとしたら?」 「それは状況によるな。でも、吹田さんが迷うことなんかないじゃん」 「え・・・あ、はい。そうですよね」 「良かった。知り合いが沖縄にいるなんて。オレ絶対に遊びに行くよ!」  ウェイターが注文を取りに来た。麻里子は涙をこらえながら、無理に笑顔を作った。
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